医師の世界では、長時間労働や過密スケジュールが当たり前のように語られることが多く、「激務」「休めない」「当直が大変」といった話題に事欠きません。もちろん、患者さんの命や健康をあずかる立場として、ある程度の責任や覚悟は必要です。しかし近年、働き方改革やワークライフバランスに対する意識が高まり、医師の働き方にも変化が見え始めています。
その中でも注目を集めているのが「週4日勤務」という新しい働き方です。一見、「そんなに休んで大丈夫なの?」と感じる方もいるかもしれませんが、実はこの働き方が自分や家族の生活を豊かにし、結果的により良い医療を提供することにつながる可能性があります。
この記事では、週4日勤務をおすすめする理由や、実際に考える際のメリット・デメリットを整理し、具体的な導入ステップをわかりやすくご紹介していきます。また、私自身の体験談を交えながら、よりリアルな視点で週4日勤務の魅力や課題をお伝えできればと思います。もし、今の働き方に少しでも疑問を感じていたり、人生の時間をもっと大切に使いたいと考えている方がいれば、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.週4日勤務をおすすめする背景
1-1.医師のワークライフバランスの重要性
医師にとって“忙しさ”は避けられない印象があるかもしれません。しかし、あまりに負担が大きい働き方を続けると、疲労やストレスによるパフォーマンスの低下はもちろん、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥るリスクも高まります。こうした状態では、患者さんへの対応に支障が出る可能性があるほか、ご自身のキャリアを長く続けるのも難しくなってしまうでしょう。
健康で長く医療に貢献するためには、自身のワークライフバランスを整えることが重要です。プライベートの充実や心身のリフレッシュは、結果的により質の高い医療を提供する基盤となります。
1-2.「時間の自由」を求めるニーズの増加
特に子育て世代の医師にとっては、日々の業務に加え家庭での責任も大きく、時間の確保が切実な問題です。近年は「短時間勤務」や「当直免除」を導入する医療機関も増えつつありますが、さらに踏み込んだ選択肢として「週4日勤務」も検討に値します。
週4日勤務が可能になると、平日に1日の余裕が生まれるため、家庭行事に参加するハードルがグッと下がります。子どもの送り迎え、保育園や学校行事、家族との外出など、これまで難しかった予定が組みやすくなるのは大きな魅力と言えるでしょう。
1-3.医療現場の変化
医療機関の働き方改革や、オンライン診療の普及など、医師の働き方そのものが変化を遂げつつあります。高度な医療機器やスタッフ体制によって、従来よりも効率的に業務をこなせるケースが増え、同時に「在宅やオンラインでも業務ができるようになる」場面が広がっているのも事実です。
こうした中で、「週4日勤務」はまだ新しい選択肢であり、導入している医療機関はそう多くないかもしれません。しかし、社会全体がワークライフバランスを重視する方向にシフトしている今、今後さらに注目を集め、普及が進む可能性があると考えています。
2.週4日勤務のメリット
2-1.心身のリフレッシュとバーンアウト予防
週4日勤務にすることで、休日が1日増えるというシンプルなメリットが生まれます。家族と過ごす時間はもちろん、趣味や自己研鑽の時間を確保できるようになり、心身ともにリフレッシュしやすくなります。
バーンアウトを予防し、長期的に安定したパフォーマンスを発揮するためにも、意識的な休息やオフの時間づくりは非常に重要です。
2-2.子育て世代への恩恵
週4日勤務により、平日に1日休みがあると、子育てにおける負担やストレスがグッと軽減されます。保育園の送り迎えはもちろん、学校行事や習い事への参加、病院受診などがスムーズになるため、家族のコミュニケーションが増え、家庭内でのサポート体制を充実させやすくなります。
2-3.新しいキャリア・スキルアップのチャンス
週4日の常勤勤務に加えて、空いた1日で副業や研究、オンライン診療、執筆活動などに挑戦することも可能です。これまで時間の制約で挑戦できなかった新しいフィールドに踏み出したり、専門分野をより深く研究したりと、キャリアを広げるチャンスが大きく広がります。
3.週4日勤務のデメリット・懸念点
3-1.収入の減少リスク
勤務日数が減るということは、その分給与が減る可能性があります。特に常勤契約の給与体系が日数や時間数に大きく連動している場合、あらかじめしっかりとシミュレーションしておくことが必要です。また、非常勤勤務への切り替えを検討する場合も、社会保険や福利厚生の扱いを含めて条件を確認しておく必要があります。
3-2.職場からの理解が得にくい場合も
まだまだ「週4日勤務」は医療現場では一般的とは言い難く、職場によっては「前例がない」「人手が足りない」などの理由で難色を示されることもあります。自分がどのように成果を出し、どのように業務をカバーするのか、具体的な提案や根回しが必要になります。
3-3.仕事量や責任が逆に集中するリスク
週4日しか勤務しない分、業務が4日間に集中し、かえって忙しくなる可能性も否定できません。余裕を持ったスケジュール管理や、周囲との役割分担のすり合わせを丁寧に行わないと、結局休みの日に電話対応や事務作業をこなす羽目になるかもしれません。
4.フレキシブルな働き方を実現するためのプロセス
4-1.自分のキャリア・ライフプランを明確化
まずは「なぜ週4日勤務にしたいのか」を明確にしましょう。子育てや家族の事情、スキルアップのための時間確保、あるいは収入の補填方法など、動機を整理することが重要です。職場に提案する際も、この動機が明確であればあるほど交渉の説得力が増します。
4-2.職場への提案と交渉術
提案の際には、「週4日勤務でも成果が落ちない理由や根拠」を示すことがポイントです。たとえば業務の効率化プランや、オンとオフをしっかり分けるスケジュール管理、あるいは不足が出た分の代替要員の確保方法などを提示すると、前向きに検討してもらいやすくなります。
また、職場が難色を示す場合は、別の医療機関を探すという選択肢も視野に入れてみてください。実際に、柔軟な勤務形態を受け入れる医療機関も少しずつ増えています。
4-3.勤務形態の具体的設計
- 連続休暇型:週休3日にして、4日連続で勤務する
- 分散型:平日2回に休みを振り分ける
など、週4日勤務にもさまざまなパターンがあります。また、夜勤や当直、オンコールの扱いに関しても、事前にしっかり話し合い、負担が過度にならないよう調整しましょう。
4-4.契約・条件面での確認事項
- 常勤扱いになるか非常勤扱いになるか
- 社会保険や福利厚生はどうなるのか
- 給与の計算方法や手当の条件はどう変わるのか
こうした点を十分に確認しておくことで、後々のトラブルを回避できます。
5.週4日勤務のバリエーション事例
5-1.病院常勤+週1日フリーランス診療(アルバイト)
基本の4日を病院での常勤勤務に充て、週1日は非常勤や訪問診療、産業医などで活動するスタイルです。病院での安定収入を確保しつつ、別の環境で新たな経験値を積むことができるので、キャリアの幅を広げたい人におすすめです。
5-2.週4日常勤勤務+オンライン診療
病院で4日間フルに働き、残りの1日を自宅からオンライン診療に充てるパターンです。オンライン診療の需要は拡大が見込まれており、場所や時間に制約を受けにくいのが大きな利点です。スキルアップしながら新しい収益源にもつなげられるでしょう。
5-3.週4日非常勤勤務+執筆・情報発信
当直や日当直バイトなどを組み合わせながら、余った時間でブログやSNS、あるいは書籍執筆などを行うスタイルです。専門知識を活かしつつ、医療情報の発信をすることで副業収入やセルフブランディングを狙うことも可能です。
6.私の体験談:週4日勤務を導入したリアル
6-1.週4日勤務を意識した“きっかけ”
そもそも私が週4日勤務を意識したのは、家庭での時間を増やしたかったからです。医師として多忙を極める中、平日に1日休みがあると、妻や子どもと出かけるときに混雑を避けられるなど、家族との時間を充実させるメリットが大きいと感じたのです。
6-2.導入までの“道のり”や“壁”
実際に週4日勤務を希望してみると、快諾してくれる医療機関は少なかったのが現状でした。私は当直や待機をしない条件で探していたこともあり、すぐに理想的な勤務先は見つからず、何度も交渉を重ねました。これはやはり、「前例が少ない」ことに加え、人材不足の病院が多いことが要因だったと思います。
6-3.導入後の“メリット・変化”
実際に週4日勤務を始めると、家族と過ごす時間が圧倒的に増えました。子どもの幼稚園行事にほとんど参加できるようになり、子ども自身も大喜び。妻との時間も増え、家事の分担もしやすくなることで、家族全体のストレスが軽減されたと感じています。
「平日に休みがある」というだけでも、子どもを連れて病院に行ったり役所の手続きをしたりと、休日と違って空いているため動きやすいという意外なメリットもありました。
6-4.導入後に直面した“デメリットや課題”
懸念としてはやはり収入が減るリスクがありましたが、私の場合は医局を離れるタイミングで切り替えたこともあって、結果的には収入が減りませんでした。ただし、週4日勤務でも入院患者を受け持っていると、休みの日に電話がかかってくるなど管理面で苦労が増えることはありました。
6-5.具体的な工夫や解決策
デメリットに対しては、院内の先生にあらかじめ緊急対応をお願いし、余計な連絡が来ないように細かく指示出しをすることで解決しています。普段からコミュニケーションをしっかり取ることで、負担を軽減しながらチーム医療を円滑に進めることができるようになりました。
6-6.フリーランス医師としての視点・経験
週4日勤務を軸にしていた私ですが、現在はさらにフレキシブルな働き方を求め、週3日非常勤+週2日産業医・パーソナルドクター業務という形を取っています。毎週のスケジュールは煩雑になりましたが、その分自由度が高く、満足度も非常に高いです。
複数の医療機関に関わることで、1つの職場に依存せず、キャリアのリスク分散にもなっています。医師の働き方に関しては、まだまだ前例が少ない部分も多いですが、こうした選択肢が広がっているのは大きなチャンスだと感じています。
6-7.今後のビジョンや展望
週4日勤務を経験したことで、時間的余裕が生まれ、さらにいろいろな働き方に挑戦したくなりました。結果的に今は週3日非常勤と週2日の別業務に分けていますが、スケジュールの調整さえうまくいけば、休みを自由に作れるライフスタイルを手に入れることができました。
今後も新しい医療のかたちやキャリアの可能性を探りながら、時代に合った柔軟な働き方を追求していきたいと思っています。
6-8.週4日勤務を考える方へのアドバイス
もし週4日勤務を検討しているのであれば、まずは“ダメ元”でも交渉してみることをおすすめします。医師不足に悩む医療機関であれば、柔軟な勤務形態を受け入れてくれる可能性があります。また、収入面に関しては、多少減ったとしても、副業やバイト、オンライン診療などで補填できるチャンスが多いのも医師の強みです。
7.成功に導くためのポイント
7-1.タスク管理とタイムマネジメント
週4日勤務を選ぶと、どうしても4日間に業務が集中しがちです。スマホアプリやタスク管理ツールを活用して、時間を最大限に活かせるよう工夫するとよいでしょう。オンとオフのメリハリを意識し、やるべきことを短時間で効率的に片づける習慣づくりが重要です。
7-2.周囲とのこまめなコミュニケーション
週4日勤務は、自分だけの都合で成り立つものではありません。チーム医療の現場では、休日中に起こりうる患者さんの急変や、他科との連携が必要な場面もあります。事前の情報共有や引き継ぎなどをこまめに行い、周囲の理解と協力を得られる環境づくりが不可欠です。
7-3.キャリア構築の目標設定
せっかく週4日勤務で余裕ができたとしても、ただ漫然と休むだけではもったいない部分もあります。研究や学会発表、資格取得、副業などを通じて、将来のキャリアアップにつなげる考え方を持つと、時間をより有効に使うことができます。
8.自分に合った働き方をデザインしよう
医師として働く中で、「週4日勤務」という選択肢はまだまだマイノリティかもしれません。しかし、ワークライフバランスやキャリア構築の面から見れば、充分に検討する価値がある働き方です。
- ワークライフバランスを重視し、長く安定して医療の現場に貢献したい
- 子育てや家族との時間をもっと確保したい
- 新しいキャリアや副業に挑戦し、スキルアップや収入源の多角化を図りたい
こうした想いを持つ方にとって、週4日勤務は大きな助けとなるはずです。もちろん、実際に導入するには職場との交渉や具体的な勤務計画の策定など、いくつかのハードルがあります。しかし、そこを乗り越えた先には、自分の時間を大切にしながらキャリアを充実させる未来が待っているでしょう。
今回ご紹介した私の体験談や具体的なステップが、皆さんが最初の一歩を踏み出すヒントになれば幸いです。医師としての働き方は、これからますます多様化していくことが予想されます。ぜひ、自分に合ったライフスタイルやキャリアのあり方をデザインし、より充実した医師人生を歩んでいきましょう。


