みなさん、こんにちは。今回も「産業医」について取り上げたいと思います。
医師のキャリアにはさまざまな選択肢があります。その中でも、産業医は特に労働者の健康と企業の健康経営を支える重要な役割を果たします。産業医としての働き方には「専属産業医」と「嘱託産業医」があり、それぞれに異なる特徴があります。
ここでは、嘱託産業医としての私の実体験をもとに、両者の違いと、それぞれのメリットについて考察します。
なぜ産業医を選んだのか
そもそもなぜ産業医というキャリアに注目しているのかはこちらで詳しく書かせていただきましたので、ぜひ御覧ください。
簡単にまとめると、予防医療に関連し、企業の従業員の健康管理をサポートする役割に魅力を感じています。産業医はその場では医療行為はできないものの、職場の環境改善やメンタルヘルスのサポートなど幅広い業務に携わることができるます。労働環境が従業員の健康に与える影響を直に感じ、少しでも環境を改善することで従業員の健康管理に寄与する。それが最終的に企業の発展につながっていく、そこに貢献できることにやりがいを感じています。
専属産業医と嘱託産業医の違い
そもそも産業医としての働き方には、大きく分けて「専属産業医」と「嘱託産業医」があります。
専属産業医は、基本的に1つの企業に専属で勤務し、組織の一員として健康管理業務を行います。具体的には、週3日以上その企業に出向き、いち社員として業務にあたります。給与も年俸制で、勤務日数により給与水準も変動します。専属産業医を必要とするような大企業では、既存の健康管理体制や先輩産業医の指導のもとで効率的に学べるため、産業医未経験であったとしてもスムーズなキャリアスタートが期待できます。専属産業医は、すでに確立された仕組みの中で、比較的安定した環境での業務が可能です。
一方で、嘱託産業医は複数の企業を担当することが多く、各企業の状況に応じた柔軟な対応が求められます。担当企業数により活動時間は異なり、企業の規模感によって支払われる報酬も大きく異なります。また、大きな企業でない場合には基本的にその企業が産業医契約しているのは1名だけであり、そこには学ぶ場はなく、いきなり実践で業務の遂行、成果を出すことが求められます。私は、嘱託産業医として現在複数の企業の健康管理を担当していますが、企業ごとに健康管理の課題が異なりその都度対応策を考える必要があるため、やりがいを感じる反面対応に苦労することもあります。
嘱託産業医としての実体験
私は産業医として独立する前に、幸運なことに半年間先輩産業医のもとで学ぶ機会を得ました。この経験は非常に貴重であり、嘱託産業医としての実務に対する理解を深めるために大いに役立ちました。先輩産業医の指導の下、実際の企業対応や健康管理の基本的な知識を習得し、いざ独立したときには初めて担当企業を持つプレッシャーも軽減されました。
嘱託産業医として働く際には、各企業の健康管理体制や従業員の状況に応じたカスタマイズが必要です。例えば、ある企業ではメンタルヘルスの問題が大きな課題であり、別の企業では職場環境改善が求められることがありました。こうした多様な問題に対して、適切な対応策を講じることが産業医としての責務です。
横の繋がりとサービスの質の向上
産業医は基本的に自立した立場で働くことが多いため、他の産業医や産業保健職との交流がなければ自らの業務内容にフィードバックが得られず、法定業務をこなすだけの産業医に陥る危険性があります。もちろんそれでも産業医として最低限の役割は果たせているのですが、密な関係性が築けなければコスト勝負になってしまい、最終的に他の産業医に乗り換えられるリスクもあります。そのため、より付加価値を出していくためにも可能な範囲で積極的に講習会に参加し、最新の知識をアップデートをしていくことが望ましいです。特に、メンタルヘルスや職場環境に関する講習は、嘱託産業医として多様な課題に対応する際に非常に役立つ内容のものが多いです。
また、定期的に他の産業医と情報交換を行うことで、自分が提供しているサービスの質を向上させる努力をしていく意識も重要です。企業に対する提案や従業員の健康管理について、他の産業医からのフィードバックを受けることで、新たな視点を得られることも多いです。
専属産業医から嘱託産業医へのキャリアチェンジの推奨
私自身は専属産業医としての経験がありませんが、産業医のキャリアを始めるにあたっては専属産業医からスタートすることも前向きに検討いただきたいです。理由は、以下の通りです
- 先輩産業医がいる中で経験を積むことができる
- 長期的な健康管理の影響を実感できる
- 経営戦略により密に関わることができる
- 嘱託産業医の「1社目の壁」がかなり高い壁になっている
専属産業医としての経験は企業の健康管理体制に深く関わり、そこでの学びを嘱託産業医となった場合も活かすことができます。また、専属産業医としてのキャリアを数年積んだ後に嘱託産業医へとシフトすることで、より柔軟な働き方と幅広い経験を積むことができると考えています。
まとめ
産業医としてのキャリアは、多様な選択肢があり、それぞれに異なるメリットがあります。私の場合、メンターの指導を受けたことが嘱託産業医として独立する際に大きな助けとなりました。専属産業医と嘱託産業医のどちらを選ぶかは、個人のキャリアプランやライフスタイルに合わせて決めるべきです。ただ、専属産業医としての経験を積んでから嘱託産業医に移行することで、より安定したキャリアパスを築くことが可能となることは知っておいて損はないでしょう。
産業医としての働き方を考えている方には、それぞれのキャリアパスの特性を理解し、自分に合った働き方を見つけていただければと思います。



